2020年2月28日金曜日

右肺の小さな穴

夜8時過ぎた頃にガハクから電話が入った。「大事なことから話すね」と切り出されたから、何か悪いことが起きたのではと緊張した。レントゲンとCTを撮ったら右肺に小さな穴が見つかったそうだ。塞がっていくのであれば問題はないが、もし広がるようなら手術をして小さなポンプを入れるのだという。順調に回復していると喜んでいただけに、ガハクはガッカリしていた。リハビリも中断。安静に過ごすようにとの指示。明日もレントゲンを撮って経過を観察して、週明けにはっきりするだろうとのこと。

「スプーンで慎重に食べていたのに、そんなことを言われたから何かぼんやりして、知らない間に箸を使って食べていたよ。そんなもんなんだねえ」と笑っている。
「でもさ、ポンプ入れたって平気だよ。生きていけるのなら」と持ち直していた。

公衆電話まで車椅子を押してもらって、あとは廊下で一人で話しているという。緑色のあの電話だ。ガラス張りの11階からは、1週間前に脱出して来たICUセンターの灯も見えるだろう。もう一度飛ばねばならない。二人して力を合わせて二乗倍の飛翔力が必要だ。

花びらのように指をひとつひとつ彫っている。刻み方ひとつで、手は花になる。(K)


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