2019年9月28日土曜日

独り徒弟と師匠

彫り直しをぜんぶやるつもりだから、これからあと何年かかるか分からない。この子だって前とは全く変わってしまった。今の方が良いのは確実だ。弟子に粗彫りまでやらせて、いよいよ仕上げに師匠自ら乗り出した感じだ。

「先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし」とか、「物言えば唇寒し秋の風」と母が度々口に出していたのを思い出す。自分は偉くなったと思った途端に堕ちてしまった人たちを見て来た。得意そうな顔も、妬みに染まった顔も、同じくらい醜い。

それに比べたらトワンのなんと可愛らしかったことか。トワンが死んでしまって、今は心の中に住むようになった天使。今夜も「トワン!」と声に出して、自転車を漕ぎ始めた。無事に家に着いたらトワンを埋めてある場所に置いた石を撫でる。「ありがとう」って。(K)


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