絵を習い始めた頃、人物ばかり練習していた。静物画も風景画もほとんど描かなかった。大学を出てからは抽象画のようなものしか描いていなかった。だから山郷に住み始めて周囲の風景を描きたいと思ってもそれが難しかった。まず一本の木を描く方法が見えなかった。
ある時ギリシャの壺絵を見てその美しさに感動した。数色の色しかなく、形の捉え方、構図もある鋳型にはめられているのに絵は自由で生き生きしているように思えた。様式美。ある独特の形式に閉じ込められているようで実はその中で表現は自由度を増して輝く。エジプト美術にもデューラーにも大和絵、浮世絵にもある様式美。
現代の様式美にはどんなものがあるのだろう。あるのだろうか。(画)
よく見られている記事
-
久しぶりにガハクが書いている。 新しい年。2022年の今日はもう3日の月曜日。 2020年の冬に僕が重症肺炎で入院してから二人で交代で書いていたものをKだけが記述していた。 去年の30日の午後、いつも二人で行く裏山の頂点に立った時、彼女がうづくまり動けなくなった。僕一人ではとう...
-
ガハクが72日ぶりに筆を取った。どの絵から始めるのだろうと見に行ったら、倒れる直前まで描いていた『Mの家族』だった。しかも踏み台に乗って高いところを描いていた。 また絵が描ける日が来るなんて、しかも今日は日曜日だ、朝の明るい光線の中で描いている 、、、ジーンとする想いに浸...
-
手の指のひとつひとつを磨いては彫り直し、彫り直してはまた磨いて、少しずつ温かな手にしようとしている。この手がうまく彫れたら、顔も同じように優しい形を与えられそうな気がして来た。 今日ガハクは、担当医とその上の大先生と専門医との3人に面談したそうだ。右肺に開いた穴は、ステロイ...
-
今日の午後久しぶりに絵を描いた。 何かをそこに発見して修正したり付け加えたりするという作業。どの絵をその時描くか、直感に従って絵を選ぶ。正面に置いた絵を描きながら、ふと横にある作品に手を加えることもある。 それがボクのいつもの描き方なのだが、今日は闇雲にどうにでもなれとばかり手...
-
スコットのダンスを見ていたら右腕にポツンと水滴が落ちた。あゝこれはよく何もないのにチクっとしたりする例の神経の突発的反射作用だろうと思いながらも当たった所を見た。実際に濡れて光っていた。左手の指で触わると確かに液体の感触が。雨漏り?思わず天井を見上げた。 白い人を見てからもう...