Kとガハクのアトリエ日記
2019年9月24日火曜日
少年
顔がだいぶ小さくなった。それに合わせて体のバランスを見ながら彫っている。貧弱と精悍の間を行ったり来たりしながら形を探っていると、「少年老い易く学成り難し」という一節が思い出された。中学生の時に職員室や事務室のある本館の廊下の高い壁にこれが墨で書かれてあって、そこを通る度に覚えたのだった。でも、今は分かる。忘れる知識は要らない知識なんだ。
その後に続く「一寸の光陰軽んずべからず」
野原が赤く染まっているので外に出た。美しい夕焼けだった。近くの梢からパッと飛び立った小鳥のシルエットが小さな扇型をしていて可愛らしかった。このシーンを忘れないようにしよう。情愛といっしょに刻まれたものはずっと無くならないものなんだ。
家に帰ってこの画像をガハクに見せたら、この角度がいいと言う。そして面白いことにガハクも「少年老い易く学成り難し」と声に出した。この少年、ガハクの中に住んでいる。(K)
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