クサギの枝のトンネルをくぐると、急に辺りがパーッと明るくなる。谷から尾根に出たからだ。その明暗を分ける境目のところに、山のてっぺんから転がり落ちた岩が、デンと座っている。
そこからは、どんどん高度が上がって、3回曲がると頂上だ。下を見ると黄色の大きな家が見える。あれは銀行家の家だ。我が家は山が近過ぎて見えない。小さな家々が川沿いにへばりついて並んでいる。可愛い小さな集落だ。
息を整え、気合を入れて、一気に下る。頂上から麓まで、10分もかからない。(K)