2021年5月15日土曜日

エデンの小道

 山のてっぺんまで小道がずっと続いている。この一年、ガハクが毎日歩いて作った踏み跡だ。

朝登ったのと同じ道を、夕暮れにまたガハクは自転車で登る。今日は鹿に遭ったそうだ。山の入り口の林道をガサゴソと動物が動く気配がしたかと思ったら、「真っ白いお尻が林道を駆け上って行ったよ」と言う。鹿のお尻は可愛くてよく目立つ。群れの先頭を歩いていく旗印でもあるのだろう。ピンと尻尾を立てて行く。

私も、夕方に自転車で山に出かけるようになった。だんだん距離を伸ばして、やっと頂上に到達したのが1週間前。久しぶりに眺める山の中は、ただ美しかった。ススキが原と呼んでいた荒れた草原は、木々に囲まれた庭園になっていた。

帰りにエデンの門を過ぎた辺りで、ガサゴソと何かが動く音がした。きっとさっきガハクが見たのと同じ鹿だ。夕暮れに水を飲みに降りて来たんだな。(K)



よく見られている記事