ゆうべ描かれた雲から 今夜は雨を降らせていた。雨が表象するのは、真理だ。
森の葉っぱが一斉に鳴り出す。パパパパが、タタタタになって、ダダダダに変わり、ザーッと溶け合う頃には、もう何にも聞こえなくなる。一本一本の木を描き分けることが出来るようになったガハクは、雨の一粒一粒が落ちる線もきっと愉快に引いているに違いない。
毎朝ガハクが山に登って降りてくるまで、だいたい40分くらいだ。気に入った木には呼び名を付けている、ジロウとかタロウとか。魚を獲るために川に網を投げている人は、雨の音が近づいているのに気が付いている。でも知らんぷりして、まだ川から上がろうとはしない。今という瞬間を生きているのは、どっちだろう?雨を描く人か、魚を獲る人か。人は目的によって知られる。何で生きてるの?という問いが、何で死んじゃうの?という問いより重要になって来たガハクである。(K)