大回顧展の案内状が届いた。ガハク愕然として、「才能のある人の地獄と、才能のない人の地獄はどっちが酷いんだろうね」と言う。どっちも同じだろう。才能に頼っている限りは、地獄の釜はいつだって蓋を開けて待ち構えている。落ちて来るのを待っている。
若い時からそうだったのかねえと聞いたら、「若い人はみんなそうでしょう。でも上手く行って成功したからそのままで終わったんだね」と言う。地獄から抜け出すことも欲しないまま最期まで酷い絵を描き続けていたとすれば、それはほんとうの消滅じゃないか。(K)