古い絵を引っ張り出したら、ひどく埃が被っていたので布で拭いたそうだ。拭いたら綺麗になるはずだと思って。そしたら、ぜんぜん綺麗にならない。まだぼんやりしているし、色もくすんで見える。尚しっかり拭きながら、ガハクは気が付いた。
「埃やカビや色の劣化もあるのだろうけど、僕はすっかり変わったんだなあと思ったよ。これも描き直さなきゃ」
絨毯の色が鮮やかになっているから、ここから描き始めたのが分かった。この喜びのシーンのインパクトはそのままにして、もっとくっきりとはっきり現れて来るものがあるはずなんだ。(K)