2020年10月19日月曜日

中庭の空

「僕にはあんたとトワンがいたからね」
人は何を支えに生きているのだろう?待ってくれている人がいるから生きて帰って来れるのだ。トワンと待っているからねと言った私の言葉を ガハクはあの混乱の中でどうも覚えているらしいのだ。

酒やタバコを少しでも減らして、その人の大事な仕事や生活を安寧に長く続けて欲しいと願うことはいけないことだろうか?そのことで病に倒れたと思えば、もっと口煩く言えばよかったと思う。しかしそれはすぐそばにいる人だけに出来ることだ。私だったら、嫌われてもいいから四六時中見張っているだろう。その人の本当にやりたいことが見えているからだ。やり遂げられるようにしてあげたいと思う。

ガハクと膵炎や肝炎や糖尿病について話し合った。なんて複雑で苦しい病気だろう。考えるだけで、じわじわと締め付けられるような気持ちになる。それでもガハクが一言「きっと良くなるよ。まだ若いんだしさ」と言ったから、一気に寛いだ。過剰な心配より、その言葉を信じている方がよい。祈りだ。

中庭から見上げた空が美しい秋風の色だった。松を切り過ぎたようだ。でもまた元気になるだろう。(K)



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