「Kと毎日同じ高さまで上がるのを 意識してやっているんだ」とガハクは言う。
ここがガハクの山散歩の終点だ。退院して間もない頃は、いろんなルートを歩いていたが、今はここに決めたようだ。その理由の一つに、私の彫刻のアトリエの標高がここと同じだということがある。
雨が降っていなければ、MTBに跨ってアトリエに出かける。家からさらに山奥に向かって、6km走る間に100m高くなる。勾配がキツいのは途中の2箇所で、あとはほとんど気にならない。すっかり慣れてしまった。
子供の頃よく空を飛ぶ夢を見たが、羽も翼も無くて、ただ両手をパタパタ必死に動かしていた。地上から数メートル、せいぜい屋根の高さだった。数年前に、ビルを乗り越えるほど高く飛んでいる夢を見たのが最後。
ガハクも飛ぶ夢を子供の頃に見ていたそうだ。今は二人とも自分の足で飛んでいる。(K)