カラスが飛んでいる。ガハクが空を見上げている。ゴム長に足を突っ込んだ時はピッチピチだけど、しばらく歩くと楽になるという。浮腫みというものは体の中の沈殿なんだな。
隣家から子供の歓声が聞こえて来た。庭にビニール製のプールを出して水遊びをしているのだ。お父さんになった若い男性がシャワーを浴びせかける度に、子供らはきゃあきゃあ騒ぐのだ。幼い子らの黄色い声には慣れている。
まだ若かった頃はあの声が嫌だった。幼稚園に近づくと子供らの声がだんだん大きくなって、いよいよ門をくぐるとマックス。子供という扱いにくい生き物たちに良いものを与える、彼らの我儘を引き受ける、事故のないように見張っていて、親たちに引き渡すまでが仕事だ。
ガハクと交代で教えていたのを二人で教えるようになったのは、私が坐骨神経痛で倒れた後のことだ。支え合うことで仕事も楽になった。子供が好きになったのは、何よりも大きな収穫だ。小さな子が一人前の立派な顔をして画用紙に向かうのを知っている。大人になって捻れてしまった心に何を言っても通じないけれど、子供の頃にあったあの意識をまだ持っている人とならば、話ができるだろう。(K)
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