2020年8月21日金曜日

茜雲

霊視とは特別な能力のことじゃないそうだ。夕焼けの色で明日の天気が分かるようなことだと書かれている。顔を見ればその人が信用できる人かどうか分かるのと同じだ。

茜雲にも不吉なのがあって、20年前に家に向かう電車の窓から眺めた不気味な赤黒い雲がそうだった。これから帰る山並みの上に低く赤く燃えるように棚引いていた。その翌日から三日三晩降り続いた雨で駅のすぐ前の山が一気に崩れたのだった。あれからは、もうあんな気持ちの悪い夕焼けは見ていない。何にもないことの平安。この静寂を退屈だなんて言う人は、地獄に属している。

トンボが飛び始めて空気が乾いて来たせいか、今日はハンマーの柄が抜けそうになったので、バケツの水に沈めて木をふやかしてから石を彫った。日が沈んで涼しくなってから、畑の作物に肥料をやった。汗だくになりながらも、清々しい気分だった。

リンゴの小枝のシルエットが哀れだ。葉っぱがだいぶ落ちてしまっている。今年は小さな実しか採れなかった。冬になったらたっぷり肥料をやろう。リンゴの施肥は寒い時期にやるんだ。(K)


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