新しい形の発見は、新しい彫り方を強いる。いつの間にか彫り易い方向にしか手が動いていないことに気が付く。瞼の縁が光っていたこと、まつ毛が長くてくっきりしたラインと優しい影を落としていることを思い出したのだ。何とか工夫してその美しい印象を刻まねばならない。だから、手先は休みなく小さな場所に向かって必死に動いていて、雨の音と雷の音は聞いていたけれど、稲光までは気が付かなかったのだ。
家に帰ってガハクに聞いたら、「何度もピカッと光ったよ!けっこう近くで」大きな目をして報告してくれた。スイカが降って来たので、さっそく食べた。どこの畑で採れたのだろう?小さくて甘くて瑞々しかった。(K)