2020年8月10日月曜日

夏水仙

山道に夏水仙が咲いている。ガハクがこの画角で毎日写真を撮って来るのだけれど、エデンの門の佇まいに何かを感じているのだろうと思って眺めていた。でも、今やっとその意味が分かった。毎日蕾が一つずつ開いて、今日は5つの花すべてが咲いているのに気が付いた。

この辺りの山のことを「何にもありませんね」と言う人と、「放っておかれていていいなあ」という人がいる。手入れがされていない山、ボサボサの草原、凸凹の山道、鉱山跡の石ゴロゴロの山道が、ふわふわの腐葉土に覆われるには一体何年かかるのだろう?人が荒らした山の修復をするのは森だ。

エデンで人に会うのは珍しい。先日遭った青年は以前にもここでガハクを見かけていたらしい。「犬を連れて、木を片付けてましたよね」と話しかけて来た。トワンが死んでからもう一年半経つのだから、彼は何度もここに来ているということになる。アウトドアの写真を撮っているのだと言うから、プロメテウスの石の傍に細工した木切れが落ちていたのは、どうもこの青年のやったことのようだと合点が行った。

自然の中に自分を重ねて写す人は痕跡を残す。透明な目を持つ人は何も残さないで、ただ認識を持ち帰る。(K)


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