2020年6月4日木曜日

記憶の放棄

これが新しいトワンか。まるで人間だ。こういう目をした犬は見たことないぞ。思わず「どうしたの?」と絵の中のトワンに話しかけてしまった。昨日からずっとトワンを描いているとは聞いていたが、こんなに変身するとは思ってもいなかった。

裸ん坊の意識は虚勢を張ることもなく、戸惑いがちに佇んでいる。他人から美談や自慢を聞かされるとき、正直者はこういう顔をする。すると、ノリの悪いやつだと笑われたりするんだ。

もうトワンにはツマラナイ話に付き合わせないからね。陽気に呑気に思うがままに生きて行くんだよ。もうガハクと諍うことも無くなったからね。トワンが間に入って宥める必要もないのよ。

森の溶け込んだ色をして草を踏む足の強さは今も変わらず。(K)


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