ガハクによれば、まだ字に力が足りないという。だから一文字ずつ彫り直している。読めればいいというものではないらしい。きっと言葉が立ち上がる為には、声か、文字に、気品か野生が必要なんだろうな。素朴さだけじゃ戦えない。
怪物はこの詩が作られた頃にすでにいたのだ。あの頃はまだ名がなかったけれど、病に倒れた瞬間からICUでの混濁した意識の中で、ずっと見せられていた者や、情景や、汚泥に満ちたシステム全体を ガハクは『怪物』と呼ぶようになった。
コロナウィルスのせいで引き篭もらざる得ない人たちの呻き声が聞こえる。抑圧は外からと内からと鬩ぎ合って、とうとう隔壁が吹っ飛んだ。
その時、山の洞穴にずっと隠れていた人たちが外に出て来て光に照らされる。長い間ずっと力と喜びを奪い取られていた人たちだ。虚業と実業がはっきり見分けられ入れ替わった瞬間だ。
もう2色刷りにはこだわらず1色で、エングレービングで刻まれた強く美しい線を追求するそうだ。スエデンボルグの周りにいた天使らは、言葉の意味ではなく、文字の空間を楽しみ喜んでいたそうだ。
だから、思いっきりやったらいいよ♪(K)
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