2020年4月6日月曜日

目が出来れば

磨いていたらだんだんつるんとしたつまらない顔になりそうに思えた。こういう時はいい考えが浮かぶまで放っておいた方がいいのだけれど、このところ畑ばかりやっていたので、また畑に逃げたくはなかった。で、しばらくじっと彫刻の目を見つめていたら、アイデアが浮かんだ。

磨くことによって消えてしまった起伏に、またヤスリでえぐって削り込む。すると、面に動きが出て目の周りが活発になった。瞳孔の暗がりの中の光が、微妙に変化した。尖った道具の先で瞳に陰影を刻む。仕上げては彫り、彫っては仕上げる。

知らない場所、見たことのない物、新しい出来事を前しして、決して怖気付かないようにしよう。煩悩はいつも後戻りさせようとするものだ。だけど今日はとても疲れていたので、却って前に進めた。(K)


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