階段の踊り場にかけてある小さな絵をガハクは気に入っている。だって、市販の仮縁に自分で金色の塗装までして毎日そこを上がったり下りたりして無意識に眺めているのだから。ささっと気楽に描いた絵にいいものが入るということはよくあることだ。
今日のガハクからの電話には驚かされた。夕方、呼吸器科の先生たち3人がやけに明るい顔で現れて、唐突に「外来診療ということになりました」という宣告を受けたのだ。つまり、もう来週早々には退院して、あとは自宅療養ということになった。で、ときどき通院して見て貰えばいいという。ガハクが「奇跡がまた起こった!」と興奮するのも分かる。ほんとうにこんなに早く帰れるなんて思ってもいなかったもの。まだガリガリだしヨチヨチだし。
でも、今日のレントゲンでは肺の形がかなり良くなっているから問題は何もないのだろう。リハビリのメニューもどんどん増えている。後は日常の活動で力を取り戻していける。庭を歩き回るのが今から楽しみだ。
天使はどこにでもやって来る。パッと輝く美しいシーンには必ずいる。(K)
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