若い頃夢中になって読んだ漫画に『青春の尻尾』という長編漫画がある。そこは三国志の世界だった。主人公の少年が仙人になることを夢見て都に向かうお話から始まる。旅の途中で出会った老婆がまた奇怪で魅力的で千里眼を持っていて、少年がまだ尻尾を失くさずに持っていることを見てとる。本気で教育を始めるのだけど、その日々の生活の豊かなこと。永遠の命に欠かせないのが豆だそうで、ぴょんぴょん野原を跳ねながら老婆は豆を蒔くんだ。まあ愉快なこと。
この話を山岳部の夏山合宿で女子隊に少し聞かせたら、やたらにウケて、雨に降られたテントの中でずっと「次は、それで、どうしたの?」と促されながら語り続けた。純粋な真理に女の子たちは憧れているんだ。今も昔もずっとそう。
今日は朝のうちにアトリエに行って石を彫った。何年ぶりだろう。こんなに早い時間にコンコン音を立てるのは。最近はいつも夜だったから。トワンの彼女の尻尾はクルンと細く弾むように元気だ。尻尾が立ち上がっている時は負けない。勇気に満ちている尻尾を彫ろう。(K)
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