近所の婆さんが94歳で亡くなった。今思えばあの人の晩年は遠い国の住人だったような気がする。
先日地球の裏側からやって来た一人の友人に会った。彼は日本人だが異国の人でもある。彼の眺める風景を想像してみたりする。
最近ではとんとやらないが、描いている途中で目を細めて絵を眺める、すると細部が消えて全体が見える。以前はよくやったものだ。遠くから絵を見るというのもそれと同じ一つの行為で、これも最近はあまりしない。画面に張り付いて描いていることが多い。大きな画面になるといちいち退るのも面倒だしそういうことをしなくても大凡の見当はつくしあまり意味のある行為とも思えなくなった。
表面の違和感を見つけ出すことなど二の次で、大事なことは自分の内部と絵の対話ができているかどうかだ。 今ではむしろ「おかしい」所が期せずして出てくれないものかと期待さえしている。異邦人の視点に気づくきっかけにならないか。
人々の中の異邦人であれば風景がどう変わって見えるだろう?それを異邦人でない僕は想像で捉えようとしているのだ。(画)
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