2019年11月30日土曜日

袴の襞

背中からだんだん腰の方へ彫り進んで、はたと困った。ついこの間、袴の襞の取り方に感心して眺めていたはずなのに、もう忘れてしまっている。どうだったっけ?と、家に電話したくなったが、我慢した。ガハクもきっと絵を描いている最中なんだからと、すっと横へ飛んで肘の方へ彫り進むことにした。

家に帰ってすぐに壁に吊るしてある袴を仔細に点検。やっぱりそうだった。中央の襞は左前に少し重なるように縫い合わせてある。着物の襟元と同じだ。

彫刻なのだから服や着物も勝手に作ればいいというのでもない。気になるときは何かそこには大事なものが隠されているんだ。背中に羽が生えていても、帯と袴はきしっと決めたい。(K)


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