2019年10月6日日曜日

トワンの不在

トワンが死んで腐ってもうこの世にはいなくなったのだと認めてしまうと、風景に被せていた感情もなくなった。流れる雲、浮かぶ雲、赤く染まった夕焼け雲の、色や形そのままを眺めている。それを薄情とも思わない。そういう時期に来たのだろう。トワンと呼べば満たされていた意識にも変化が起きた。夜道を自転車で漕ぎ出す時いつも「トワン帰るよ」と声に出していたのを、昨夜は「主よ」と変えた。気持ちにしっくりとした。元々トワンとは、インドネシアで家の主人に呼びかける敬称なのだそうだから、これからはこれで行くか。

ねばつく感情ともおさらばだ。(K)



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