群像を左端から描き始めて次に右端、最後に中央まで来た。手直しを始めた頃とだいぶ人物の様子が変わった。次はまた右端に行くぞ。
若い頃は描き直しなく一気に描けた絵にしか傑作はないと教わった。だからいつまでも同じ絵を描き続けていてはいけない、描き直しは絵を悪くするだけ愚の骨頂だと。確かに一理あるが、歴史を見るとそればかりとも言えない。
しかし本当はそんなことはどうでもいい。傑作を作ろうなどという身の丈以上の欲を張らなければ、そして時間に制限さえなければ、気にいるまで自由に画布のあちこちをつつき回す喜びの中にいられる。(画)
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