2019年7月4日木曜日

半径20キロのスフィア

もう一つのレリーフの仕上げに取り掛かった。太陽の下のとおめいなまるい球だ。この人の口元と額には随分苦労したのになかなか気に入った顔にならなかったが、今日、やっと、やさしい歌声が響くようになった。粗野な声は消え、よく通る美しい声で呼びかけている。

人間天使はこの世に属さない。しかしその影響は20キロ先まで及ぶそうだ。声は大きさではない。美しい声に人は振り返り聞き惚れる。美しい声は最内部に残っている純真を呼び覚ます。だから一人の天使の力を見くびってはいけないのだ。小さく愛しいものの発見から本当の生は始まる。(K)


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