2019年4月22日月曜日

耳の従順

小さな子たちに絵を教えているとき、彼らの柔らかな心に吸い込まれていく水音が聞こえるようなんだ。こっちがドキドキするくらい美しい情景が皆の間に浮かび上がることもある。描き終わったばかりの絵を眺めている時もまだ意識が作る空間は崩れずに持続している。

これは本当に存在するものなのか、あれは妄想に過ぎなかったのか、捏造されたものと真理を識別する力を持っているのが芸術だ。描いたもの作ったものを売り買いすることや自分の名が知れ渡るようにすることが耳から入って来る誘惑によるものだとしたら、耳を塞ごう。でも優しく甘い音、爽やかにしてくれる風の音なら聞きたい。

「トシが死ななかったらあのまま東京にいただろうし成功したかもしれない。天才も野心に晒される。それが達成できなかったから賢治なんじゃないの」と慰め励まされた。(K)


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