今日も目を彫った。昨日はいいと思った顔が、今日になるとまた不満が出て来る。空を見上げているから光を正面から受けることになるこの人の瞳、どんなに深く彫っても光の角度によってぼんやりして見える。光が多過ぎて影が足りない、彫り足りない。
瞼の裏側まで彫らないと影ができない。唇の奥まで刻んでおかないと線ができない。それでも前よりは形が強くなった。意識が変われば求めるものも変わって来る。それまで欲しかったものは消えて、これからは新しい発見さえあれば何とかなると思えて来る。
眉と瞼と鼻梁の間の複雑な凹面。口元にもまだ隠されている形がある。まだまだやることがいっぱいある。峠の向こうにも道は続いていた。(K)
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