この人の後ろと前がなかなか一致せずに苦労しながら彫っていたのだけれど、やっと後ろが良くなったので喜んでいる。でも、今度は前が遅れをとった。後ろ姿が美しい人の前に回って顔を見つめた時、あゝさもありなんという顔を彫りたいのだ。
昨日今日と、ずっとこの顔の彫り直しをしていた。二つの顔が接近しているので奥まった目に上手くノミが当たらない。ヤスリと平ノミを使ってじりじりと削り落として行く。時間はいくらでもあるんだ、ゆっくり進めば必ず到達できると思える時は焦りのない状態で、そういう時だけ顔が彫れる。
だんだん顔が離れ、頭の形が引き締まって来た。瞳の位置の修正が出来たら視線がピシッと合わさった。(K)
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