2019年2月28日木曜日

妖精の住む場所

「花の中の妖精はどうするの?彫らないの?」とゆうべガハクに言われた。あれはね何となく花の軸にも人にも見えるということであれでいいの、とその時は答えた。

アトリエに着いて、じっと花の真ん中の突起部を見つめた。砥石の小さなかけらを持って吸い込まれるように頭の部分を削り始めて、右手、左手、足元を線彫りしてみた。すると、花は花ではなく小さな宇宙に見えて来た。高い場所へと移動したようだった。世界が広がったのだ。

形を与えると崇高さや神秘性が消えてしまいそうでつい曖昧にしたままにしておく。決定的な線を与えるのが怖いのだ。それでも前に進めるのは勇気じゃなくて、そこに大好きなものがあるからだ。いい香りのする方へと素直に導かれて行くだけだ。 (K)


よく見られている記事