今日はこの絵を描いていた。小さな画面だ。10cmくらいしかない。
時々ひどく苦しくなる。今日もアトリエに入り絵の前に立つと、そのままじっと立っていられず、ただぐるぐると歩き回っていた。パレットさえ持つ気になれない。パレットは生きていく杖のようなものだと言ったこともあるのだ。その杖を持てなければ生きていけないではないか。
とにかく描こうと小さなのを選んだ。ずいぶん以前の天使の絵だ。ほとんど潰すように描き直しながら、
「あ、これは、Kyokoだ」と気づいた。「そうだ、彼女を描けばいいんだ」
そう思うといつの間にか描くことに集中できたのだ。
Kの彫刻に『癒す手』というのがあった。それを思い出した。彫刻でも同じように胸の前にもう一人の人が立っている。ただその人たちには目がない、または隠されているのだが。
(ガハク)