明け方の夢はいたってシンプルだった。丘を登っている自転車放浪者が野犬の群れに襲われているのが遠目に見えたので、慌ててガハクに「救急車呼ぼうか?」と話しかけたところで目が覚めた。まだガハクはぐうぐう寝ているから、あゝこれは夢かと気が付いた。
海外で善き活動をしている人が銃で殺されたというニュースがこの夢に反映している。暗澹たる思いにさせようとして霊達が私の記憶の中にある人物や風景をピックアップしてこしらえたショートムービーは小さな箱庭の出来事だった。夢の主人公になった自転車おじさんは、実際にこの辺りをいつも行ったり来たりしている実在する人物だ。どこで寝泊りしているのか不明。パンを買って食べているのを見かけるから、お金はあるのだろう。誰かと話しているのを見たことはない。アトリエに行く時によくすれ違うから、向こうも私の顔を知っている。生き方もいろいろだが、丈夫な体でいる限り彼はああやって過ごすのだろう。自分の運命を変えようとは思わないのかな?
人は意識が変わらなければ何も変わらない。まず内側から湧き起こる切羽詰まった意識の革命があって初めて動き出すんだ。(K)
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