2019年12月19日木曜日

雲をうまく描ける人は例外なく良い画家だ。デューラーの様な天才でも描く雲はそれなりなものだ。もっとも「それなりに」描けるということさえ難しいのだが。例えばエルグレコの描く雲は表現主義的で力強く湧き上がり聖人を包む。あゝいう風にはなかなか描けないものだ。
しかしアンリルソーの雲は特別だ。夕焼けに染まる雲、不思議な形の雲、人々が生活する上に大きく浮かぶ雲たち。多分彼の心は子供の様に澄んでいて見上げる雲に同化できるのだろう。パリの街の上空にその日その雲は確かにあったのだろうと思える。表現的でも写実的でも理想的でもない形と色。
ガハクでも心を純粋にできれば描けるかもしれない。(画)

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