2019年8月27日火曜日

わずかにウェーブ

あの頃は、まだ大理石の強度が分からなかった。それに彫り方も乱暴だった。後ろ髪を長く垂らしたように彫ってあったのは、首をあまり細くすると折れそうで怖かったからだ。 しかし今夜は、思い切ってうなじに沿った髪の毛を削り取った。だいぶスッキリしたけれど、もっと細くした方がいいな。

逡巡しながら少しずつ進む。グラインダーやエアチズルで一気に削り取ってしまうと、途中でチラッと見えるものや、うまく行かなくてぼんやり眺めているとフッと浮かんで来るアイデアやら、絶望の後に降りて来る斬新なものを石の粉と一緒にすっ飛ばしてしまうから、もう機械は使わない。

ホシと呼ばれるノミで突いた白い点々も、さすがに顔には出ていない。それは、何度も何度も削っては磨き、磨いては彫り、また削っては磨くことを繰り返しているからだ。顔が出来れば他は自然と決まって行く。背後もだいぶ見えて来た。(K)


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