惹きつけられるように壁にかかっている絵を見つめた幼子が「あそこは川だね、森の中をずっと流れて行って遠くの海に繋がっているんだよ、海の前に何か大きなものがあってその横に穴が空いていてそこからハシゴみたいなものが降りてる。空にあるのはお月様」と説明してくれた。そして「いつかこんな絵が描けるかなあ」と。子に答えて母が「今からもっと練習していけば大人になったら描けるようになるかもしれないよ」。
いや、さにあらず、君が全ての思い込みや他人の評判など気にせずその純真な心のままに描けたなら、その時はこんな絵の何倍も優れたものが描けるに違いないんだよ、と心で僕は呟いていた。
今日念願の居合刀が届いた。鞘も鍔も柄も全てが懐かしい感触。正座をして袴の帯に差し両手を膝に乗せ前をきっちり向いたら解き放たれた子供のような気持ちがした。明るい前向きな空間がそこにあった。
絵だってこんな気分で描けたらきっといい絵になるだろう。(画)
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