バードは古代人だ。サンダルがよく似合う。トワンの足と並べると尚美しい。犬の足と人の足、どっちも綺麗でしなやかだ。
戦時中この辺りの子供らは、草履を古タイヤで作っていたのだそうな。物が無い時代の知恵と工夫は聞いていて楽しい。どんなタイヤを使ったのかと訊ねると、
「自転車でもオートバイでも何でも使えるよ」と言う。でも丸みがあるから難しかったでしょうと言うと、
「そんなことは気にしねえ。ただ足が黒くなったけどよっ」と返って来た。鼻緒が切れたら、古手ぬぐいを裂いて捻って自分ですげ替えていたそうだ。
山の斜面に大きな白い花が揺れている。朴の花だ。
「昔この辺りじゃ、朴が咲き始めたら陸稲を蒔いてただよ」と話すキゾウさんの姿を久しぶりに思い出した。(K)
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