トワンは、黒いアイラインがくっきり引かれて、魅力的な目をしていた。眉もスーッと目を引き立てていた。そういう美しさは写真には記録されない。心の奥にあたたかい気持ちが湧き上がった時にだけ現れる。それは生きている姿だ。だからトワンが死ななきゃ、こういう風には彫れなかった。
ガハクが死にそうになったことが何度かあった。その時の怯えを思い出す。オロオロとしたし、元気になってもまたこんなことがあったらどうしようと、独りになる不安から抜け出すのは容易じゃなかったが、今回は違っていた。どっちを選ぶのか、その決断が苦しかった。「(たとえ僕が死んでも)余計なことはしなくてもいいからね」と、ずっと言われていたからね。
「あの時、僕の死を受け容れてくれたから、僕は死ななかったんだよ」とガハクが言う。後先が逆のようだけど、そうなんだ。そういうものなのだ。
今夜もトワンとその彼女を彫った。アイラインはヤスリを上手に使えば綺麗な面が削れることが分かった。いつまでも成長し続けている。腕は上がり続けているようだ。(K)