苦しかった頃にガハクが、「大丈夫だよゴッホがいるから。彼以上の苦しみはもうないよ」と励ましてくれた。その時、「僕がゴッホの奥さんだったら、決して死なせなかったのになあ」とも言った。彼は自分の絵の価値を知っていたのに、惑わされ苦しみ悩んで自ら命を絶った。理解者もいたのに。支援してくれる弟に申し訳ないとずっと負い目を持ち続けていたんだ。そういう純粋な人の苦しみにすーっと潜り込んでくる卑しい意識、くすんだ想い、自己否定の葛藤から守ってあげることは、同じように絵を描くことに喜びを持っている人にしか出来ないだろう。
ガハクが山を描いている。自転車が出て来たぞ。トワンがガハクの後を追いかけている。「今年はトワンが来るよ」という予言はどういう形を遂げるのだろう。未だに謎だけど、ガハクの言葉を信じよう。(K)