嘘が良くないのは、騙した相手に対してじゃない。それを見ている周りの親しい人たちを蝕む。偽善は慣習になり、小さな者たちを押し潰す。精一杯の愛と勇気で叫ぼうじゃないか、一言で言えることを。本当に欲しいものを誰かに求めたことがあっただろうか?死の効用は、周りの人たちを明るくした。ガハクが生還した時、「為になるわよねえ」といつも美味しいものを降らせてくれる天使が言った。隣の偏屈な爺さんでさえ「良かった良かった」と満面に笑みを浮かべて慰労してくれた。本当のことだけが人を繋ぐ。死の恐怖と戦って戻って来た戦士に誰もが微笑む。
「お、僕に似て来たね」とガハクに言われた。耳から後頭部へかけての流れが掴めずに昨日今日と苦労していたが、首は根っこのように、眼球が食い込む穴をしっかりと捉えればいいと分かった。(K)
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