ひと月ぶりのガハクの通院日。いつものように採血をして、胸のレントゲンを撮って、それから診察を受けた。さすがに今日こそは薬が無くなるだろうと予想していたのだが、足の浮腫みの原因について様々な可能性を探って話し続けている先生の様子に、どうも今日は釈放までは行きそうも無いなと、内心落胆しながら聞いていた。薬の処方だけは今日までにして欲しいとの願いを込めて、静かに耳を傾けて判決が出るのを待っていた。二人でじっと耐えていた。
診察の最後の方でやっと、
「浮腫みの原因はステロイドの副作用かもしれません。ステロイドしか考えられない」と言われた時は、ホッとした。
「ステロイドは一旦終わりにしましょう。それで浮腫みが消えればそれが原因だと分かるわけですからね」と仰った。他の薬もステロイドが無くなれば必要ない。
2月2日から今日まで5ヶ月と9日の間、体の中の嵐を抑えてくれたステロイド。ところが先生は、「もうステロイドが効いるかどうか分からないんですよね」とも仰る。一旦やり始めたら、急に止める訳には行かない薬がステロイドでもある。
病気は自力で治すしかなく、周辺で支援活動をしてくれるのが薬だ。病気が教えてくれることはとても多くて、それは貴重な体験だった。完治なんて無いのだと知った。数値が完全になるなんてこともあり得ないようだし。だって先生は、「それは個性かもしれないんですよね」と、また不思議なことを仰るものだから、訳が分からなくなっちゃう。
ひとまず薬は終了ということだ。ガハクの肺は治った。(K)
⇩ガハクの山散歩:ここはエデンと呼んでいる場所だ。手前の木は枯れている。「一年前は生きていたんだよ。葉っぱが付いていたもの。木も枯れることがあるんだね」ガハクは綺麗な霧に包まれて歩いている。
よく見られている記事
-
久しぶりにガハクが書いている。 新しい年。2022年の今日はもう3日の月曜日。 2020年の冬に僕が重症肺炎で入院してから二人で交代で書いていたものをKだけが記述していた。 去年の30日の午後、いつも二人で行く裏山の頂点に立った時、彼女がうづくまり動けなくなった。僕一人ではとう...
-
ガハクが72日ぶりに筆を取った。どの絵から始めるのだろうと見に行ったら、倒れる直前まで描いていた『Mの家族』だった。しかも踏み台に乗って高いところを描いていた。 また絵が描ける日が来るなんて、しかも今日は日曜日だ、朝の明るい光線の中で描いている 、、、ジーンとする想いに浸...
-
手の指のひとつひとつを磨いては彫り直し、彫り直してはまた磨いて、少しずつ温かな手にしようとしている。この手がうまく彫れたら、顔も同じように優しい形を与えられそうな気がして来た。 今日ガハクは、担当医とその上の大先生と専門医との3人に面談したそうだ。右肺に開いた穴は、ステロイ...
-
今日の午後久しぶりに絵を描いた。 何かをそこに発見して修正したり付け加えたりするという作業。どの絵をその時描くか、直感に従って絵を選ぶ。正面に置いた絵を描きながら、ふと横にある作品に手を加えることもある。 それがボクのいつもの描き方なのだが、今日は闇雲にどうにでもなれとばかり手...
-
スコットのダンスを見ていたら右腕にポツンと水滴が落ちた。あゝこれはよく何もないのにチクっとしたりする例の神経の突発的反射作用だろうと思いながらも当たった所を見た。実際に濡れて光っていた。左手の指で触わると確かに液体の感触が。雨漏り?思わず天井を見上げた。 白い人を見てからもう...