袴の後ろ姿を夢中になって彫っていて、ハッと我に帰って慌てて前に回ってみたら、やっぱりそうだった。ウェストが極端に細くなってしまっている。右腰はまだ良いが、左腰が極端に薄い。でももう知っているんだ、悪いことは善いことの始まりだって。
内なる人の翼の輪郭を強くした。帯のカーブをはっきりと刻み直した。柔らかで明確な線は量を感じさせる。か細く脆い方が気高い。だから彫り過ぎを怖れてはならない。見えているのに歩み出さないことの方が意識を鈍くするのは何度も経験済みだ。言い訳ばかりの口達者にはもうウンザリだから、どんどんストーリーを進めよう。(K)
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