2021年7月27日火曜日

夜の窓

ガハクに「今日は何を描いたの?」と聞いたら、「自画像の窓のところを描き直していた」と言っていたのはこれか。真っ黒な外の闇。クロームイエローのねじれたカーテン。

この絵を見ていると、30年も前に唐突にガハクが言った言葉を思い出す。「世界と繋がるとはどういうことか、僕は分かったんだ」と、天啓のように降りた認識を話してくれた。

深夜のアトリエでキャンバスを前に描いている時に善い霊たちが窓の外から覗いている。明るい画室の白い壁によりかかって、愉快そうに絵を眺めているゴッホやブレイクやデューラーがいる。右後ろのガハクの肩口から一緒に絵をじっと見つめているのは、ガハクの親友の秀太郎さんだ。

昨夜は、画室の窓から満月が見えたそうだ。雲が切れて現れた満月は、マーエダさんだろう。ガハクが『夜間飛行』(前田ただし作曲)のギターパートを毎日練習している。とても難しい曲なんだけれど、もうすぐふたりで合奏できそうだ。(K)



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