2021年7月10日土曜日

白槿

キッチンの窓の向こうに白槿の花が咲いている。雨の朝も、曇っている時も、今朝のように日差しがあっても、いつも爽やかな空気を纏って揺れている。風にも光にも雨にも敏感に反応する花だ。

製材所のバイト代で、ガハクは久しぶりに絵筆を16本も買った。お気に入りのメーカーのものだそうで、サイズと形がいろいろある。軸が深緑、銅で束ねてあって、毛先が白。絵筆までもが美しい。

死んだ人と残された人が一緒に生きる為には、この世にいる方がステージを上げなければならない。そうでなければ、到達できずに迷っている悪霊か、死に損ないの中途半端な意識にまとわりつかれてぼんやりと過ごして、その瞬間が訪れても知らずに終わってしまうだろう。

ガハクの夏の絵に白い花が現れた。夏に咲く白い花は永遠を表象している。(K)



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