殺処分寸前の犬がスカウトされ夢之丞(ゆめのすけ)という名の救助犬になったという話をネットで見た。処分場から出された時の怯えた表情が家に来た頃のトワンを思い出させた。すっかり元気になって活動している成犬の姿も似ていた。
久しぶりの展覧会を前にして気持ちがすっかり変わったのを感じる。
今まで自分の人生も大部分が終わった、できることはできたしできないことは今後もできないだろう、後は死ぬまで淡々と絵を描けばいいと思っていた。それが違うんだ。僕らは殺処分寸前なんかではない。目標を持ち到達点を意識して努力しよう。殺処分を恐れながら自己欺瞞としての諦念という精神的堕落から抜け出さねばならない。
銅版を彫りながらそれを思い出していたら、ジャコメッティがもしデューラーのような技術を持っていたらどんな絵になっただろうと連想した。
残念ながらそんな仮定は無意味だ。トワンは夢之丞にはなれないしその逆もない。(画)
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