2019年5月28日火曜日

技法との出会い

14歳で駒井哲郎は銅版画を知り、高校時代には将来は銅版画家になろうと決意したのだそうだ。当時は日本に銅版画はほとんど入っていず、情報がほとんどない状況で変な子供だったと自書している。彼の初期の作品にはヨーロッパの銅版画家の影響がはっきりと読み取れる。
僕の場合はウィリアムブレイクを西洋美術館で見たのがきっかけだが、今でも不思議に思う。専用のプレス機などという、重く嵩張り当時の僕にとって高額でもある機械を買う決心を、この小心者がよくしたものだと、それまで銅版に触ったこともなかったのに。
しかしそれが銅版画という「技法との出会い」だったのだ。出会ってしまったら後には引けない。
油絵の場合、始めたのは高校の頃だが、その「技法との出会い」は30過ぎてからだったと思う。筆の向こうにゴッホの色彩が見えたと思った時だ。見えたからにはもう戻れない。
芸術表現にとって「技法との出会い」は必須ではなかろうか。(画)


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