2019年12月27日金曜日

イメージの混濁

伝えられたイメージにどれだけのリアリティーを感じ取れるか。
集中治療室に寝ていた母が息子の背後に見たものについて、今にして思えばもっと詳しく聞いてみれば良かった。
親類縁者たちだということだったが、その全てが故人であるような事を言っていた(懐かしい人たち)。ならばその中に死んだ夫はいなかったのかとか、幼くして死んでしまった4人の息子はいなかったのかとか。また彼らはどんな風にそこにいたのか、黙って立っているだけで動きはなかったのかとか、話しかけたりしていないのかとか。
また別にナポレオンや豊臣秀吉が現れたというのだから、彼らはどんな服装だったのかとか。家来のようなものは連れていなかったのかとか。
そこを聞けなかったのは、それが死に行く人の見る幻でしかなく、母の死という衝撃に僕の心が乱れていたからだろう。そこに幻想が持つイメージンのリアリティーを感じられるだけの心のゆとりがなかったからだろう。イメージはリアリティーを失い混濁するばかりだ。(画)


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