2018年11月11日日曜日

水の中の月

海を深く抉っている。海の暗さが欲しいからなのだけれど、石の縁のところはどうしても明るくなる。頭で考えたようには行かないので、彫りながら探っている。

ここまで深くしてみて気が付いた。海も実は空洞で何にもないところなのだと。水で満たされて初めてどこにでも行ける自由空間になるのだ。空もそう。満たされているものがあるから美しいのだ。窓がオレンジ色に染まるほどの夕焼けと、空中に充満した輝く光の粒がそれを証明してくれた。

海に漂う月はほんのりと明るい。甘くて美味しそうな形になった。(K)


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