2019年2月6日水曜日

兎と牛と鹿を通って犬になった

犬の顔を彫り直すに当たって石の量が足りないので耳を寝かせたら、兎のように見えて来て焦った。兎は警戒心が強いので耳を立てたり寝かせたり鼻をヒクヒクさせたりする優しく悲しい動物。

で、鼻を細く絞ったら、今度は牛に見えて来て慌てた。牛のつぶらな瞳は好きだけど、ぼんやり間延びして広がっている頭蓋が締まりが無くて気に入らない。

おでこをしっかり立てたら、今度は子鹿になった。元々トワンは鹿に似ていたから、あともう少しだ。

やっぱり問題は目だ。目にはその生き物固有の性質がモロに出ている。探るように極細の平ノミの角でじわじわ攻めていたら、やっと新しいトワンが現れた。『白い人』を見つめる強い視線だ。(K)


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