2019年9月7日土曜日

直覚

彫り足りないことはあっても彫り過ぎることはない。でも慎重に探らなければ通過してしまう一点がある。それが掘り当てられた時は凄く嬉しい。頰の抉れ、口元と顎のライン、額と髪の境界。スムースは退廃。ゴツゴツは嘘。ザラザラなものに真実がある。何か見えたらすぐにそこを彫ってみるのがいいようだ。(K)


絵に話しかける

時々喋りながら絵を描く。そこに誰かいるみたいに。
ここをこういう風に描く意味はね、こいつは良くないかな、この形これでいいかな、もっと他にいい色ないだろうか、君はどう思う?。話しかける相手は、自分自身の時もあれば誰か別の人、時にトワンだったりもする(トワンにはどうでもいいよねと)。
考えあぐねて筆が止まりがちな時、うまくいかない時は特にそうなる。たぶん筆が教えてくれるのだ。

昼食中に、最近食事時には僕ばかり喋ってるねと言ったら、
「あなたの興味なさそうなことを私は考えているからよ」とオクさんに言われた。
興味なさそうなんて言わずに話してよ画布にだって僕は話しかけてるんだからさw(画)



2019年9月5日木曜日

前が決まれば後ろも決まる

首をもっと細くしたいから髪を長くすることにした。ゆるやかなウェーブを刻みながら極細のノミで慎重に彫っている。立ち向かっているもの、その方向が間違っていなければ、いい形は自然と出て来る。

今日は5時から9時まで4時間立ちっぱなしで彫っていたが膝は平気だった。だいぶ丈夫になって来た。帰り道に自転車で走り始めて気が付いた。左腕の痺れもなくなっている。首の筋肉が付いて来た証拠だ。強くなることもあるんだなあ。使い方、休み方、やり方次第だ。(K)


自由

不思議な人が現れた。
勝手に描けているという証拠だろうか。
いよいよ「自由」になってきたか。(画)

2019年9月4日水曜日

夕立

今日こそはたまっている汲み取り代を払わねばと、早く出かけて待ち構えていたら、3時頃にバキュームカーがやって来た。バケツの水を二杯流してすっかり綺麗にしてもらった。「支払い溜め込んじゃってすいませんでした」とお金を渡したら、笑顔が戻って来た。さっぱりとした何もない笑顔だった。詮索も疑いも思惑も無い笑みは本当に気持ちがいいものだ。

まだ明るいのに雨戸が閉まってしまう家がある。こんな気持ちのいい夕暮れなのに。人が通らなくなった田舎道をときどきぶーっと車が行き来する。中学生の学校帰りの子が通る。電車が山の斜面を過ぎていくのは面白いけれど、西武線もこの頃の新車両はエゲツない。赤っぽい室内灯に煌々と照らし出されて乗客の膝まで見える大きな窓ガラスから溢れる光は、まるでホテルだ。

夕暮れ時になると漂っていた夕餉の支度の匂いもしなくなった。自転車で走っていると、カレーやサンマを焼く匂いや玉ねぎを炒める匂いなんかがしたもんだったけど、たまにしかそんな匂いに出会わない。うどんを茹でても、出汁まで作る人はいないらしい。昆布や鰹節の匂いがなくなった山里である。

夕方になってザーッと降り出した雨が鬼の足跡をすっかり消してくれた。美は力だ。天はそうやっていつも励ましてくれる。(K)


2019年9月3日火曜日

南無阿弥陀仏

どうやって売り込むかばかり考えてたら「怖いところはトーキョの銀座、泣くに泣かれぬモボ♪」
だよって後輩に教えてやったら、
「じゃあ僕たちどうすればいいんですか」って半分キレられた。宮台真司の言う『コスパのヘタレ野郎』だ。
呆れたよ。お前らマーケティング考える前に騙されたら口惜しくないのかよ。悪い世の中をちょっとでも変えれないかって思えないのかよ。お前らそれでもアーティストのつもりかよ。
以上は今から30年前の話だけど、未だにそんなことを考えている人々がいる。
エノケンが歌ったのは60年も前(たぶん)なのに今も事情はちっとも変わってないようだ。

心が暗くなったり塞いだ時は「トワン」と心に呼びかける。すると気持ちがすっと楽になる。称名念仏みたいなもんだな。(画)

2019年9月2日月曜日

自分にないものを彫る

ガハクに額の形は本当に難しい。向き合って食事をしている時もつい額を見てしまう。だいぶ斜めにしたのだけれど、もっと急でいいな。髪の奥へ斜めに滑り込むように入って行かなくちゃ。後頭部まですーっと滑るように髪の毛の中で卵が傾いているくらいの奥行きを彫るのだ。もっと勇気を出して自由な意識を持って見えたものに従って。(K)


2019年9月1日日曜日

ごっちゃと統一

意見の合う仲間たちの集まりほど楽しいものはないが、細かい所まで全てが合ってしまったらそんな集団は面白くない。個性もなくなり気持ち悪いじゃないか。地球上の人間が全て好みも考え方も同じだったら、戦争も紛争もなく平和で穏やかだろうか。それならそれが人類の理想像なのだろうか。けれどもその実現は不可能に近い気もするし、もしかしたらそうならないようにされているのかもしれない。我々人類に与えられている試練、仲が悪くても相性が悪くても考え方が違っていても共存する方法を見つけること。

リアルさを与える為の陰影、色、質感、空間の統一という課題をうっちゃってしまえばいいのに。(画)


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