2018年11月24日土曜日

限界を超えて彫る

限界だと思っていたのは自分に制限をかけていただけだった。ほんとはもっと先に行きたいし、行こうと思えば行ける場所なのだ。少しずつ外される制御装置。空間が四方に広がる。水の中まで潜り込む気流、貫く光線。曖昧だった面が方向性を持った。これは森の方まで広がるぞ。(K)


2018年11月23日金曜日

びょーき

腹痛が度々あってうんざりする。空腹になると出て来るらしいうんと若い頃からの悩みの種だ。画布の前でなかなか描こうとしないのもモノグサな性質のせいではなく大抵これが原因だと最近分った。
絵が描けなくなるにはちょっとした不調で充分だと思うが、大作家になるとそうではない。宮沢賢治は病床で詩や短歌の清書を完成させたそうだし、ウィリアムブレイクも病床であのヨブ記のエングレービングを彫り上げたということだ。凄まじい表現欲ではないか。
結局ガハクはそれほどの作家ではないという証明だな。今日も胃薬を飲んでがんばった。(画)

2018年11月22日木曜日

月への道

トワンの周りに刻んだ卵を軸にして位置をはっきりさせようとしていたら、月にダイレクトに繋がる道を見つけた。
それは、二つの渦の真ん中にある。二つの輪が高速でぐんぐん回り出すと、間にジェット気流が沸き起こって、凄いスピードで地上に降りて来れる。もちろん上昇だってあっという間だ。二つの輪は善と真理で止まることなく常に回っている。

月までの通路が分ったところで道具を片付けて外に出たら、今夜の月も卵の形をしていた。(K)


2018年11月21日水曜日

進歩

今の作品を以前のものと比べて見て、今の方がよければ自分が「進歩」している証拠だから、昔のを廃棄するとF先生が書いていた。
これがジャコメッティだったら壊すことなくすぐに修正を始めるに違いない、「進歩」した今ならもっといいものになるだろうと。 廃棄するのでなく「壊して作り直そう」とするだろう。

この以前の絵を直すべくしばらく眺めていたが、これはこれでいいと思った。たぶん少しの修正を加えるだけで充分だろう。
僕の「進歩」は、昔の絵の中にある当時の描く動機、描き方に潜んでいる充実と空虚、純粋と不純の見分けがつくようになったことだと思った。(画)

2018年11月20日火曜日

球の中の卵

気体の渦が卵型になった。球の中でブンブン回っている気流の渦だ。「死は卵だ」と詩人が書いていた通りになった。あとは、海底に光の文様を刻みたい。水の中の月には波の模様を。球の底や海面の裏側が、海底の照らし返しでぼーっと明るくなるのが面白い。

トワンが彫れればあとは何とでもなる。彼が連れて来る者たちは美しく瑞々しい、いつも生き生きと飛び回っている。そういう所と交信しながら彫っている。(K)


2018年11月19日月曜日

トワンの夢

数夜連続で夢に犬が出て来たが、なぜかどの犬もトワンとは似ても似つかぬ犬種だった。昨夜ついにトワンの夢を見た。夢でいいから出て来て欲しいという願望が満たされたし、それも多くのエピソードがに飾られていて嬉しいものだった。しかし起きた瞬間にそのほとんどを忘れてしまっていた。残念でならない。
人の記憶力は相当なもので、見たり聞いたりしたもののほとんどを脳は蓄積しているのだそうだ。だから覚えておこうとするより思い出そうとした方がいいと。詰め込むより掘り出せということか。
でも英語では「覚える」も「思い出す」も"remember"なのはどうしてだろう?(画)


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