2019年8月30日金曜日

It's cool.

やっと顔のこっち側が良くなった。横顔が美しいのが理想。最高なのは後ろ姿が綺麗な人。前から見た顔は大抵嘘が入っているから、他人も自分も誤魔化せる。

石を彫っていて分かったこと:自分を超えて行かなければ良いものは彫れない。さらに善いものとなると、決して自分の力では彫れない。内的な清涼な場所が用意されて初めてそこに降りて来るものだ。内的流入に素直に従って彫り続ける技量と体力が要る。そして忍耐。形はじんわり湧き出て来る。少しずつ変わっていく形を彫りながら見つめて来た長い時間が、まるで一瞬だったように思えた時、表に現れるのが新しい顔だ。それはすごくかっこいい。(K)


家族が増えた

駒井哲郎がルドンのことをなんて言ってたか気になって著作を確認したら「ラテン精神に基づいた厳しさに近寄りがたいものを感じる」それはデューラーやダビンチにもある「不気味なもの」と書いてあった。そして未だに理解できていないと。
天才たちの作品を論じたものはたくさんある。中にはほとんど解説できたとまで言ってるように見えるものも多い。でも人間という複雑怪奇なものをそう簡単に「分かる」ものだろうか。只でさえ「天才」と呼ばれている人間であればなおのこと。むしろほとんど分からないが、それでもなんとかこの位は言えるかも、というのが精々だろうに。

「Mの家族」徐々に人が増えている。止まらなそうな感じさえする。空間を埋めようという一種の衝迫性が生まれたのかもしれない。(画)


2019年8月29日木曜日

はえぎわ

 暗くなる直前に畑に入って、人参の種を蒔いた。雨が降り続くこんな天気が発芽にはちょうどいい。人参の種はとても小さく軽いので、土を被せずに、刈り取ったイネ科の細い雑草の葉をふんわり散り敷いておいた。自然の日陰と雨避けだ。雑草抑えもしてくれる。

三日かけて耳の位置を直した。顔がだいぶ小さくなったけれど、奥行きが出た。額が髪の毛の奥に入って行く辺りの形を何とか突き止めたので、今夜は満足して鑿を置いた。やっと美しさが出て来た。やっぱり生命の湧き立つ所への入り口は美だな。(K)


2019年8月28日水曜日

楽観的な絵

新しい色が発見できない時はそれまでのパレットで賄うしかない。ある人物がどうもしっくり来ないと感じても隣の人物で補うことができるかもしれない。そうやって細部をいじっているうちに全体的に前よりずっといい着地点を見いだせる可能性もある。いや絶対それはそうに決まっている。
最後まで楽観的に描き続けることができたというのが収穫という絵になりそうだ。
今日家族が一人増えた。(画)



2019年8月27日火曜日

わずかにウェーブ

あの頃は、まだ大理石の強度が分からなかった。それに彫り方も乱暴だった。後ろ髪を長く垂らしたように彫ってあったのは、首をあまり細くすると折れそうで怖かったからだ。 しかし今夜は、思い切ってうなじに沿った髪の毛を削り取った。だいぶスッキリしたけれど、もっと細くした方がいいな。

逡巡しながら少しずつ進む。グラインダーやエアチズルで一気に削り取ってしまうと、途中でチラッと見えるものや、うまく行かなくてぼんやり眺めているとフッと浮かんで来るアイデアやら、絶望の後に降りて来る斬新なものを石の粉と一緒にすっ飛ばしてしまうから、もう機械は使わない。

ホシと呼ばれるノミで突いた白い点々も、さすがに顔には出ていない。それは、何度も何度も削っては磨き、磨いては彫り、また削っては磨くことを繰り返しているからだ。顔が出来れば他は自然と決まって行く。背後もだいぶ見えて来た。(K)


2019年8月26日月曜日

四人目まで来た

形がうまくとれない時は色を、色に生彩を感じれない時は形をいじればいいと知ったのは10年前。
それよりも問題なのは精神的な自由感、いつも自由な感じで仕事ができる心の状態を保てるかどうかだ。
先ずは筆の先に起きることに一喜一憂せず、戻ろうなどと思わず常にゆっくりとその道を進んでいけばいい。戻らなければならない時は気づかないうちに戻っているものだ。
これは悟りかもしれないなw  とにかく楽しく描けないものは人が見ても楽しくない。(画)




2019年8月25日日曜日

ツムジを彫る

ガハクが「ツムジを彫ってみたらどう」と面白いことを言うので、早速その日アトリエに着いたら作業台を広いテーブル状のものから桜の丸太に替えた。背面を彫るには狭い作業台の方がいいのだ。石は重くて動かしにくいから、人の方が周りをぐるぐる回る。

この木は30年くらい前に近所の古木が伐採された時に貰ったものだ。貰った当初はストーブの薪にするつもりだったが、よく見ると立派な木なので勿体なくなった。そのうち木彫もやるかな、いや木口木版もいいなと思っているうちに、作業台になった。

無垢の木は音が響かなくて彫っていて気持ちが良い。鑿に返ってくる衝撃も少ない。打力が一点に集中するのでコツコツと締まりがある澄んだ音がする。

細いよく切れる鑿と一番軽い石頭(セットウ)を持って踏み台に乗った。ガハクの髪ならよく知っている。もうずっと長いことヘアカットをしているからね。(K)


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